猫轍守衛の偽業務日報

訳あって暇人やってる、その昔似非鉄道趣味者だったクズの毒吐きブログ。虎もライオンもデカい猫だけど、文句ある?

相変わらず……

なんだかんだ言って、結局相変わらずだなJR西日本wまあ実の所はそういうもんだろうなとは思ってはいたが。
《JR西 連日の指導 近畿運輸局産経関西産経新聞大阪本社公式ニュースサイト) http://www.sankei-kansai.com/2010/07/23/20100723-041650.php
 山陽新幹線の保守用車両脱線事故を受け、国土交通省近畿運輸局は22日、JR西日本に対し文書による行政指導を行い、豊田伸二鉄道部長が「輸送障害を発生させ、利用者に多大な影響を及ぼしたことは誠に遺憾」と、速やかな原因究明と再発防止策の報告を求めた。JR西の西川直輝副社長は「大至急、原因を分析して再発防止措置をとりたい」と陳謝した。
 JR西に対する近畿運輸局の指導は、電車の安全装置の部品を抜き取ったとして車掌が逮捕された事件を受けて、21日に行われたばかりだった。
(2010年7月23日 07:47)》
何かに絶望して故意に多数の電車の緊急用ヒューズを抜いた車掌の件については、今の私にはJR西を責める気が起きない。そもそもこれに関しては今の日本社会においてはあらゆる組織において起きても可笑しくない話だろうから。ただ、JR西が彼が絶望に向かう予兆を察知出来なかった事があまりにもやるせない……。
というか大型ナイフや乗用車を使って無差別殺傷とか指定可燃物ぶちまけて放火とかいう方向に向かわなくてよかったな、というか、そこまでする甲斐性が無い為にヒューズ抜き取りで留まったか、という気がものすごいするのだが。これに失望して批判に走る者は『絶望系』の人間が起こした罪に対して自分の憎しみを晴らしたいが為に極刑や厳罰化を声を荒げて叫ぶ馬鹿と同じだ。
しかし、昨日の朝から山陽新幹線上下不通の原因、鉄道業における組織間ヒエラルヒーの存在に端を発する設備保守面での相変わらずのダメダメ振りがまた現れたか、という感じがorz
《新幹線保守車脱線 JR西と作業員で主張食い違い‐神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0003232612.shtml
 JR西の説明によると、衝突防止装置の記録からは、運転士が事故現場の手前900メートルを時速47キロで走行、制限速度を7キロ超過していたことなどが判明した。
 衝突防止装置は、先行車両の後部から発せられた赤外線を感知し、その距離が300メートル以内に近づくと警報が鳴ったり、非常ブレーキがかかったりする仕組み。だが、今回は136メートル手前まで検知が遅れ、約1秒後に非常ブレーキがかかった。
 JR西は「大雨で検知が遅れることは認識していた」とするが、今回の遅れについては「今後、詳しく調べたい」と繰り返した。
 一方、国広部長は「装置はあくまでも補助であり、基本は運転士の目視」と強調。「鉄を削る作業で粉じんが舞い、視界が悪くなることもあるが、今回はすでに作業を終えており、目視確認が可能な状態だったと思う」とし、「砂ぼこりで前が見えなかった」という運転士の供述とは異なる見解を示した。》
結局、なんでこういうチグハグな事になるかというと、結局系列会社に作業丸投げしているから。
山陽新幹線不通 神戸のトンネルで作業車が脱線‐神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/0003229811.shtml
 JR西によると、現場は須磨トンネルの東側入り口から約1・6キロ西の地点。追突した作業車両はグループ会社「大鉄工業」(大阪市)の所有で、先頭のモーター車から3両目と4両目のトロッコ車が折り重なるように脱線した。作業員3人が乗っており、六甲トンネル内の亀裂部分にコンクリートを注入する工事を終え、西神戸保守基地(神戸市西区)に戻る途中だったという。
 追突された車両は、グループ会社「レールテック」(大阪市)所有のレール削正(さくせい)車で、5人が乗り込み須磨トンネル内でレールの表面を削る作業を終え、待機中だった。両社の車両は同基地に一緒に戻る予定だったという。レール削正車は午前6時前、同基地に収容された。》
まあ丸投げしている相手が子会社ならば、まだ何とか話が出来そうな気がするが、『孫請け』ともなればそれすらしんどい。まして彼らがいないと成り立たない作業であれば尚の事、だ。
《乗員3人は孫請け社員 保守車両脱線 衝突防止装置捜査へ‐産経関西産経新聞大阪本社公式ニュースサイト) http://www.sankei-kansai.com/2010/07/2320100723-041681.php
 山陽新幹線のトンネル内で保守車両同士が追突した脱線事故で、追突した車両の乗員3人が全員、孫請け会社の社員だったことが23日、JR西への取材で分かった。また兵庫県警は同日、前日に引き続き神戸市西区の車両基地で事故車両の実況見分を実施。午後にも事故車両を使い、「衝突防止装置」が機能したかどうかを調べる。
 JR西などによると、孫請け会社は「エーエムジー工業」(大阪府茨木市)。JR西はトンネルの保守工事をグループ会社に委託、さらにエー社に下請けに出された。エー社とJR西には出資関係はないが、JR西はエー社の受注について「問題はない」としている。
 追突した保守車には、運転士(27)と責任者(64)、オペレーター(61)のエー社の男性社員3人が乗車。運転していた社員は、県警に対し「前をよく見ていなかった」などと説明しているという。》
この産経記事にあるエーエムジー工業という会社だが、保線作業専門のJR西の協力会社である。そのテの作業は上の神戸新聞記事にある大鉄工業やレールテックがJR西の中の人とやっているんじゃ? と思うだろうが現実には違うのだ。JR西の中の人は重要度の高い作業の現場責任者としてぐらいしか姿を現さず、今回の事故現場で行っていたレールを削って調整する作業などは大概子会社に任せるか、子会社を介して協力会社に任せている(その場合子会社の人間が現場責任者である事が多い)のが普通だ。
その子会社や協力会社の従業員がJR西と同じ『問題意識』を共有出来る組織ならまだいい。しかし現実はそうではない。その原因を探せば以前のエントリ(『「バカ」というより「素人」が線路のメンテをやっている……のか?』 http://d.hatena.ne.jp/nekotetumamori/20100304)で書いた事に行き着く。
http://d.hatena.ne.jp/nekotetumamori/20100304
 鉄道工事従事者のぬるさは、実は昔から鉄道業界に内在する業者間の格差・階級と構成員の出自に伴う能力格差の存在が大きく影響している(*3)ので、何を今更という絶望感しかしないが……さらに言うとJR内の教育不足に関しては「国鉄改革」やその後の長期不況に伴うJR内部の組織再編によってもたらされた現場の混乱の後遺症と言ってしまっても過言ではないかも。
 (中略)
 (*3)ツレ(注:私の『連れ』の事です(汗))曰く保線作業の下請け業者は地権が絡むからか昔からヤクザのフロント企業が多いとも。故に刑期を終えて出所してきたチンピラの社会復帰先として機能してきた側面があるらしい。ちなみに列車見張員業務も鉄道会社及びその子会社・大手ゼネコンを除くとこれまたヤクザのフロント企業だらけらしい中小規模の警備業者が片手間にやってる事が多く、従って必然的に作業員全体に於ける所謂「バカ」が占める割合が大きくなる構図になりやすいのかも……orz》
要するに生まれ育った環境の影響により肝心の「企業倫理」を共有出来ない、いや元からそんなものすらない人間達ばかりが鉄道業界の末端にいる訳だ。(私の連れ曰く「保線作業の下請けの奴らなんか、いつも酒呑んで来てから作業に入る馬鹿がおるしなw」orz……そんな彼ですらまた私が「常日頃JR西の作業に関わっている身ならせめて『4.25』の事故現場に年に一度は献花しに行ったらどうだ!?」と言ったところ「嫌だ。あそこ縁起が悪いし。」と言って結局行かず仕舞いだったり〇| ̄|_)
そしてそうなってしまったのは日本社会が長い歴史の中で受け継いで来た出自・職業差別の存在が大きく横たわる。その意味では私に言わせれば『4.25』の遺族は「カッとなって」ヒューズを外した車掌の行為よりもそっちに失望しろよ、そして今までそういう事態を許して来たのはお前らもだぞ、という事にしかならない。