猫轍守衛の偽業務日報

訳あって暇人やってる、その昔似非鉄道趣味者だったクズの毒吐きブログ。虎もライオンもデカい猫だけど、文句ある?

西梅田を攻略するのに11人もいらないか〈前編〉

記事をUPするのが今頃になってしまったが、先週の水曜日(11/30)の晩に、ハービスエントのオメガ店舗でかなりその手のプロにやられたんじゃねえのな盗難事案があったと聞いて、えーそれ私が昔に所属していた旧阪神系の阪急阪神子会社が警備請け負ってるビルでの事案じゃねえかwという事で、先週金曜日の仕事帰りのついでに様子を見て来た。

盗難事案発生から2日後のオメガ店舗の様子

その時のオメガ店舗の様子はどうだったかというと、

店舗正面は白いシートで覆われ、その前に警備員が1名立哨中*1という状態だった。事件からもう1週間以上も経った今はどうかは知らないが、起きて間もない時期はこんな感じだったのである。

そもそも11月30日夜のハービスエントで何が起きた!?

因みに、ここ2〜3日前の時点でまだweb上に残っていたこの事案を報じた複数のマスメディアの記事をざっと集めてみた。まずは産経。

大胆不敵!オメガの時計約4千万円分盗難 大阪・キタの商業ビル‐MSN産経west
30日午後11時20分ごろ、大阪市北区梅田の商業ビル「ハービスプラザエント」1 階の高級腕時計店「オメガブティック大阪」の警報システムが作動し、駆けつけた警備員が110番した。店の入り口のガラス戸の鍵が壊され、鍵がこじ開けられたショーケース から、腕時計66点と指輪数点(被害総額計約3千万〜4千万円相当)が盗まれており、 大阪府警曽根崎署が窃盗容疑で捜査している。
同署によると、通報の直前、店内の防犯カメラに白いマスクを着用した2人組が映っていた。その数分前にはビル1階入り口の防犯カメラに、この2人を含む3人組が白い車で乗り付け、ビル内に入る様子が映っていた。
店は同日午後8時に閉店し、午後11時ごろに店長が施錠したが、ビルの入り口は午後11時半まで自由に出入りできるようになっていたという。

次は朝日。

高級時計など盗難 3千?4千万円相当 大阪・梅田‐asahi.com(朝日新聞社)
30日午後11時10分ごろ、大阪市北区梅田2丁目の商業ビル「ハービスPLAZA ENT」1階の「オメガブティック大阪」 の警報センサーが作動した。駆けつけた警備員が、店の入り口のドアがこじ開けられているのを発見し、110番通報した。高級時計や指輪など約70点(3千万〜4千万円相当)が盗まれており、大阪府警曽根崎署が窃盗事件とみて調べている。
同署によると、店の入り口のガラス製のドアを工具で持ち上げるような形でロックが外されており、店内のショーケースが壊されていた。ビル出入り口の防犯カメラに、午後11時10分ごろ、白いワンボックスカーから黒っぽい服装の3人組がビルに入っていく姿が映っていたという。2人は白いマスクを着けていた。
午後11時13分に再び防犯カメラに映っており、約3分間の犯行だったとみられる。 店は午後8時に閉店しており、発生当時、店内は無人だった。現場はJR大阪駅近くにある。

そして読売。

高級時計や指輪盗まれる…3千万〜4千万円相当‐ YOMIURI ONLINE(読売新聞)
11月30日午後11時15分頃、大阪市北区梅田2、大型複合ビル「ハービスENT」1階の高級時計店「オメガブティックオオサカ」で、非常ベルが作動。
警備員が駆け付けたところ、ガラス戸の鍵がこじ開けられ、陳列ケース下の引き出しから時計や指輪約70点(計3000万〜4000万 円相当)が持ち出されていた。大阪府警曽根崎署が窃盗事件として捜査している。
同署によると、ビルは営業時間内。非常ベル作動直前、ビルの北側に停車した白っぽいワンボックス車から降りてきた3人がビルに入り、 うち2人が閉店中の時計店内に侵入する様子などが防犯カメラに映っていたという。いずれも男とみられる。

あと時事通信

数千万相当か、高級時計盗まれる=大阪・梅田‐時事ドットコム
 30日午後11時10分ごろ、大阪市北区梅田の複合商業施設「ハービスPLAZA ENT」1階にある時計店「オメガブティック大阪」で警報が作動し、警備員から110番があった。大阪府警曽根崎署員が駆け付けたところ、店のガラスドアがこじ開けられ、高級腕時計66点が盗まれていた。被害は時価3000万〜4000万円相当とみられ、同署が窃盗容疑で捜査している。
  同署によると、警報が作動して数分後に同施設1階入り口の防犯カメラに、上下とも黒っぽい服装をした3人組が白っぽいワンボックスカーで逃走するのが写っていた。

毎日はweb版で報じたかどうか今となっては判らないか、スポニチにはこの事案の記事があった。

オメガで腕時計66本盗難 被害4000万円か ‐スポニチ Sponichi Annex
11月30日午後11時20分ごろ、大阪市北区梅田2丁目の高級時計メーカー「オメガ」の販売店で、「商品が盗まれた」と警備員から110番があった。腕時計66本と指輪数点がなくなっており、曽根崎署が窃盗容疑で捜査している。被害額は3000万〜4000万円に上るとみられる。
同署によると、店は大型商業ビルの1階にあり、ガラス戸はこじ開けられ、ショーケースの鍵は破壊されていた。近くの防犯カメラには午後11時10分ごろ、白いワンボックスカーで乗り付けた黒ずくめの3人組が店に入り、約3分後に逃走する様子が映っていた。
警報装置の発報で、侵入から数分後に警備員が駆け付けたが、犯人らはすでに逃走していた。
現場は国道2号に沿った梅田の中心地で、ホテルや商業施設が立ち並ぶ一角。

勿論関西圏TV局のローカルニュースにもなっていて、「身内」である阪急阪神系の関テレも報じており、

http://www.ktv.co.jp/news/date/20111201.html#0387460title:title =関西のニュース‐関西テレビ放送株式会社
30日午後11時すぎ、梅田の「ハービスプラザエント」の1階にある「オメガブティック大阪」で、店内が荒らされているのを警備員が見つけました。
警察が防犯カメラなどを調べたところ、犯人とみられる3人組が工具のようなものを使って入口をこじあけ、わずか3分で高級時計や指輪など約70点、4000万円相当を奪って逃げていました。
3人組はいずれも上下黒っぽい服装で、白っぽいワンボックスタイプの車で逃走したということで、警察が行方を追っています。

後はもう記事自体は更新されて残っていないが、twitter毎日放送MBSニュースのアカウントの以下のツイート

で、報じていた件が確認できる。

ま、大体内容は重複するのでこのくらいにして、その割に各メディアで微妙にバラつきのある記事内容だが、要点をまとめると、

  • 事案発生は11月30日の23時10分以降の約3分間。
  • 犯人はオメガ店舗の扉の鍵を壊して侵入。ピッキングによる解錠でもなければガラス扉を叩き割ってもいない。
  • 常駐の警備員が店舗の防犯センサーの侵入警報に気付いて現場に到着した時には既に犯人は逃走済だった(というか、警報が上がった時には既に侵入されていた)。
  • 犯人は数名のグループ。そのうち黒っぽい服装の3人組(2人は白っぽいマスク着用)が館内に入り、2人がオメガ店内に侵入した所を防犯カメラが捉えている。
  • 犯人グループはハービスエント北側の路上に白いワンボックスカーを停車、犯行後それに乗って逃走。
  • 被害は腕時計66点+指輪数点の計約70点、金額にして3000万円〜4000万円相当。
  • 盗難にあった商品は店内のショーケース下部の引き出し内にあったもの。従ってショーケースの引き出しの鍵も壊されていた。
  • オメガ店舗は20時閉店、店長は23時00分頃に施錠した後、退館。
  • 但し1fフロアは23時30分頃まで自由に出入り可能な状態だった(理由は後ほど)。

それはそうと、産経にはやはりどうも変な意味で記事タイトルのセンスが秀逸(笑)な人がいるようで、閉店後のブランドショップでの盗難事案って大胆不敵という程の話かいとツッコミ入れたくなるのだが(それ故か、gooニュースやyahoo!ニュースに配信された際は「オメガ時計66点盗難 3人侵入、4000万円被害 梅田」とまともな記事タイトルにしていたようだがw)、まあ産経大阪本社の目鼻の先にあるハービスエントという建物の雰囲気に変に引きずられたんじゃねえのな気もするが何でダニエル・オーシャン一味にでもやられたかのようなタイトルつけたのやらw*2あと毎日新聞というかスポニチ、ビル名伏せなくてもw産経程でもないが毎日の大阪本社ハービスのすぐ近くだろとw

犯人侵入と警備員到着のタイムラグ

ただまあ、「ハービスエント」というビルは警備員が常駐している訳で、テナントの防犯センサーがした時点で警備員詰所(ハービスエントでは地下2階に防災センターがあり、そこが警備員詰所になる)からオメガ店舗に猛ダッシュしたら犯人一味に追い付いたのでは? とツッコミ入れた人もいたんじゃないかと。
実際、地下2階の防災センターを出て程近い所にハービスエントの従業員出入口があり、さらにその近くに地下2階から1Fに直接移動出来るエスカレーターが存在していたりする訳でw
これがそのエスカレーター。
場所としては地下2階のビルボードライブ大阪横にある入口を入った目の前にある。
ただ、それでもこの事案の犯人に追い付くのはぶっちゃけいろいろ 無 理 かと思う。何故か。
上記の新聞記事の要点まとめで、「警備員が店舗の防犯センサーの侵入警報に気付いて現場に到着した時には既に犯人は逃走済だった(というか、警報が上がった時には既に侵入されていた)」と書いたのだが、これは産経の記事内の、

通報の直前、店内の防犯カメラに白いマスクを着用した2人組が映っていた。

の記述に基づくもので、なんで産経の記述なんかと思うだろうが、あくまで私個人の見解ではあるがこれからしてこの店舗の防犯センサーって「パッシブセンサー」だけでドアにはセンサー類は無かったのかなと見る。
因みにパッシブセンサーというのはこういうもの。

パッシブセンサ/人感センサとは|用語集【平和テクノシステム東海】
センサーがキャッチできる範囲に温度があるもの(人間なら体温)を見つけることのできる機器です。
また範囲はその機種によって異なります。
間違えてはいけないのは、赤外線を出してそこに物がさえぎったら感知すると言う方法ではないということです。

要は、まあよくドラマや映画で描かれる事の多い赤い光線を張り巡らした防犯システム*3なんかじゃない、という事。言い換えれば、侵入者の体温を感知するタイプのものなので、センサーの感知する範囲が明後日の方向を向いていなかったりセンサーそのものが故障していたり、はたまた侵入者が体温を外部に出ないようぬ完全に遮蔽出来る服装で全身をすっぽり覆わない限り(?)はイヤでも感知して警備に知らせますよ、という代物だという事。ちなみにこのセンサー、感知範囲がかなり広いのでテナント入り口にドアやシャッターがなく閉店後はパーティションの類で仕切るような所だと、設置箇所によってはテナントの前を通ったりしただけで警報を上げてくれたりするいい意味で厄介なセンサーでもある(マジで)。
じゃあ産経の記事の既述通りなら、易々と店内侵入された後に警報が上がるまでに時間が掛かるとかどういう事だwと思うだろうが、そんな仕様にも理由がありまして……。
実は私自身はハービスエントではなくハービスOSAKAが勤務先だったのでハービスエントの方の防犯センサー類の事情は知らない。ただハービスOSAKA館内のテナントには必ずといっていいほどパッシブセンサーがあり、実はそのON/OFFはテナント内のセンサーボックスでしか出来ない(警備室側・防災センター側では作動中の警報モニタリングのみ、異常発生時は当然の事ながら現場に直行)というシステムだったように記憶している。つまり、

  • 防犯センサーのセット及び解除はテナント側でお願いします。
  • 最初に来られた方は中に入って何秒以内に解除、最後に出られる方はセット後何秒以内に退出をお願いします。

という、よくある防犯システムだという訳。
実際に私も防災センターの人が設備のメンテナンスでテナント内に立ち入る必要があったり、テナントの人が鍵を忘れたという理由で鍵の解施錠及びセンサーボックスでのセンサーセット/解除を行った事が何度もあるのだが、センサーボックスの場所をきちんと把握していないまま入るとすぐにタイムオーバーになり、大音量の非常ベルが鳴り響くと共に警備室から無線を介して侵入警報が上がった由の連絡が入ってくる訳でwハービスエントのテナントも同じ仕様のものを採用しているとするならば、犯人がテナントに侵入したのを警備が把握するまでに僅かとは言えその時点で十分タイムラグが出てしまうわな、という事になる。この時点で相手が要領よい窃盗犯だとお手上げ。
更にいうと、警備の方も日常の業務がある訳で、いつもならこの事案の起きた23時台というのはハービスエントの建物そのものの来客用入り口の閉鎖に入り、5Fの飲食店の従業員の退館対応に追われるなど割と忙しい時間帯ではないかと思う。しかも夜間の勤務はどうしても仮眠に入る者もいて昼間に比べると配置人員は少ない訳で。それでも一応有事対応の警備員が一人はいるのだが、その者に至急直行させた所で、前途のタイムラグの事を考えたら運が良くて精々逃げる犯人達の後ろ姿が見えた程度ではないだろうか。
ついでに言うと警備員の制服を着ている彼等とて所詮はしがない一般人でしかなく、ましてや大手警備会社でも特殊な業務をやるような会社でもなく、電鉄会社がただ自社グループの利益の為だけに作った警備会社の従業員の事*4、そんな彼等が311後に話題になった「安全バイアス」から冷静沈着に逃れられる状況に身を置くのは、失礼な事を言うが実はそう簡単な話ではないのではなかろうか。その時間帯に指令卓に座っていた者が油断もしくはの他の業務に追われるなりして防犯カメラモニターの見落とし(実はハービスエント防災センター内には巨大な各所防犯カメラのモニターが鎮座している筈なのだが……。)、という可能性さえ指摘出来なくもない訳で。ただ本当のところはその当日そこにいた者でなければ判らない。


という訳で書いていて少し憂鬱になってきた。ダラダラ長文を書いても仕方がないのでこのエントリは一旦ここで切ることにする。

*1:忘れたか何か知らんが制帽被れよw と思わせる格好だが、ハービスOSAKA及びハービスエントに常駐している隊の館内での装備はこれが通常。制帽はあるのだが館内では敢えてそれを着用しないのは旧阪神電鉄時代からの管理事務所からの依頼によるもの。因みに警備会社の制服によく見られるジャケットの上から締めるオーバーベルトは元から存在しないタイプの制服なので、阪神百貨店の警備に就いていた隊員が客に阪神電鉄の駅員に間違えられたという内輪での笑い話を聞いた事がある。

*2:オーシャンズ11』とその続編の存在は知っているが、実は見てない。というか宝塚歌劇でやるとか決まった話を聞いた時点で噴いた上、そのポスターを見た時点で盛大に噴いたwww

*3:そういうのはアクティブセンサーと言う。参照→http://xn--ols51g36ecswq2jxs4b.jp/jutaku/sensor-active-passive.htm

*4:大手数社を除く日本の警備会社はそこそこの規模のある企業が自社グループの便宜を図る為に作ったかもしくはヤクザのフロント企業であるという場合が殆どのようで、酷い所になると警備業法違反を平気でやるわでそれがバレて一定期間こ業務停止命令を受ける業者が必ずといっていい程存在する。そういう業者は従業員のレベルもピンキリで元警察官なら正直いい方で後は高卒や大手企業に入れなかった或いは中途退職した大卒が大多数を占め、尚且つ収入も高くなく永続きしない者も多いというのが実情だろう。