猫轍守衛の偽業務日報

訳あって暇人やってる、その昔似非鉄道趣味者だったクズの毒吐きブログ。虎もライオンもデカい猫だけど、文句ある?

西梅田を攻略するのに11人もいらないか〈後編〉

もうかなり前に書いたエントリの続き。 凄い今頃になってしまい事案を起こした犯人グループが捕まったかどうかすら知らないが、実の所犯人グループがあの後どうなったかまではその事案のあった当時から興味がないので正直今でもどうでもよい。で、続編を途中まで書いてはいたがUPする期を逸した上、よく考えたらあまり書くこと無さそうだなと思って、まあそのうち気が向いたら書き上げるかと思って放置していたのだが、最近知ったネタで先にこのエントリを完成させとかないとちと気まずいようなのがあったのでこの際書いておく。要するに自分の怠惰ですスミマセン(汗)
取り敢えずそのエントリで取り上げた昨年11月末のハービスエントオメガ店舗盗難事案の要点を再度おさらいすると、

  • 事案発生は11月30日の23時10分以降の約3分間。
  • 犯人はオメガ店舗の扉の鍵を壊して侵入。ピッキングによる解錠でもなければガラス扉を 叩き割ってもいない。
  • 常駐の警備員が店舗の防犯センサーの侵入警報に気付いて現場に到着した時には既に犯人 は逃走済だった(というか、警報が上がった時には既に侵入されていた)。
  • 犯人は数名のグループ。そのうち黒っぽい服装の3人組(2人は白っぽいマスク着用)が館 内に入り、2人がオメガ店内に侵入した所を防犯カメラが捉えている。
  • 犯人グループはハービスエント北側の路上に白いワンボックスカーを停車、犯行後それに 乗って逃走。
  • 被害は腕時計66点+指輪数点の計約70点、金額にして3000万円〜4000万円相当。
  • 盗難にあった商品は店内のショーケース下部の引き出し内にあったもの。従ってショー ケースの引き出しの鍵も壊されていた。
  • オメガ店舗は20時閉店、店長は23時00分頃に施錠した後、退館。
  • 但し1fフロアは23時30分頃まで自由に出入り可能な状態だった(理由は後ほど)。

犯人グループは何処から入り何処から逃げた?

オメガ店舗のあるハービスエント1階の入口は計4ヶ所、うち事案のあった時間帯に開放されていたのは3ヶ所もある。

事案のあった当時のハービスのフロアガイドに掲載されているハービスエント1階フロア案内図。北側に2ヶ所、北東側に1ヶ所、南側に1ヶ所ある。この内南側の入口は物販店舗の営業終了時間である20時で閉鎖となる。因みに、オメガ店舗が建物の外周面にない(つまり店舗から直接建物の外には出られない)事も分かるだろう。

北側2ヶ所のうち北西側、スワロブスキー店舗横の入口。梅田にある各鉄道路線の改札からは一番遠いがオメガ店舗からは一番近い入口がここ。

もう1つの北側入口はグッチ店舗横にある。周りはガラス張り。

そして北東側、ヒルトンウエスト横の入口。各鉄道路線に一番近く、ハービスエントの紹介写真の多くはこの近くから見上げた構図で撮られている事が多い、言わばハービスエントの「顔」とも言える場所にある入口。
事案のあった時間帯、開放中のどの入口からでも出入りしてオメガ店舗に到達、逃走する事は可能だった筈だが、前の前のエントリに載せた産経や時事通信の記事で1階に設置の防犯カメラが犯人グループの動きを捉えていた事や彼らの手際良さを考えたら、グッチ店舗横及び北東側入口から逃走というのは無理があろう。
さらにいうと、ハービスエントの北側歩道は実は少しややこしい事になっていて、建物寄りのスロープのある幅広い「プロムナード」と、車道沿いの高速バス乗り場前の歩道の2つがあり、ハービスエント北西側の交差点まで完全に分離された状態になっている。そういう事もあって1階の入口を出てもすぐに車道には降りられず、プロムナードのスロープを降りなければならなかったりする。
そうなると犯人グループはどこに車を止めてたかというと、プロムナードのスロープと高速バス乗り場前の歩道が合流する北西側交差点のすぐ手前あたりで、そこから1階北側のプロムナードのスロープを上りスワロブスキー店舗横の入口から入り、目的達成後に侵入時と同じルートを通って車にのって逃げたと推測するのが妥当だろう。

(写真上:高速バス乗り場前の歩道 写真下:高速バス乗り場前の歩道をさらに北西側交差点寄りに移動した所。犯人グループは写真左端に写っている柵のすぐ横辺りにでも車を止めていたのではなかろうかと憶測してみたのだが。)

なぜハービスエントは23時半まで開けっ放しだっのか

「理由は後程」と書いた件について触れよう。ハービスエントが23時台まで開けっ放しになっているのは、5階の飲食テナントの残客対応もあろうが、最大の理由は人の流れの便宜を図る為だろう。
ハービスエントの場所はかつての旧阪神電鉄本社とホテル阪神があった場所で、電鉄本社が福島区海老江、つまり阪神野田駅前に移転しホテル阪神もJR環状線福島駅前に移転したのだが、それ自体が旧国鉄用地も含めた西梅田地区全体再開発の一端に過ぎない事を考えたら何もかもが旧阪神電鉄一社の思惑通りにならなかった部分もあると思う。まあそれでもあそこは旧阪神電鉄の土地故に何だかんだといって自分達の利益に繋がるようにしていってああなったのだろうとは思うがw
しかしその為にでっかいハコモノを作るも、それが梅田の各所にある公共交通網へのアクセス、ましてや阪神電鉄の自社路線の駅に向かう導線を妨げていては話にならない。従って物販テナント閉店後のハービスエントの1階とB1階東側とB2階は、エスカレーターやエレベーターで簡単に行き来できるようになっている。

またB1階東側は建物を南北方向に貫く通路になり、わざわざ地下に降りなくても桜橋方面からJR大阪駅方向に移動できる導線の一つとしての機能を持たせてあったりする。ちなみにB1階北側入口を出た所に高速バス乗り場がある。


そしてB2階は、梅田の各鉄道駅や各商業施設を繋ぐ関西の一大地下迷路(笑)である梅田の地下街に接続している。要はこの件に関しては利益よりも利便性を取らざるを得ないからと見るべきだろう。

自分がリアル警備員だった頃に上司に言われた事

このエントリの前編を書いていた時に思い出して、まあ後編の締めに書こうかと思っていた事を。
阪急阪神以前の時代、自分がかつてハービスOSAKAの警備室に勤めていた頃の思い出話になるが、やはり窃盗事案というのは何度かあって、このエントリで取り上げたニュースになるような程のものではないが、自分が覚えている限りでは物販テナントの営業時間中に万引きという事案ばかりだったように思う。それもテナントの方による警備室への通報を受けて初めて察知というものばかりで、取り敢えずすぐに事案のあったテナントに向かって万引き犯と思しき者の外見を聞き出した後は、暫くは待機中の隊員及び通常の業務で館内や外周を巡回している隊員で該当者がいないか見て回るのが関の山、但し既に該当者の姿はどこにもないというのがいつもの事だった訳だがw勿論起きた事案は翌朝に管理事務所に提出する業務日報に記入、必要あらば詳細書いた別紙も添付して、後は翌日以降の業務に就く隊員達に朝礼で伝達されるか業務日報の控えを見るよう伝えてその件はおしまいだった。
その程度の事しか出来なかったのかと言われれば、残念ながらそれが限界だったとしか言い様がなく、多分それは今も大して変わっていないのではとも思ってみたりする。まあ自分も当初はそれでいいのかと思う事がなかった訳でもないが、その頃の上司に言われた事は、盗難事案は保険がおりて何とかなるからまだいい、怖いのはスプリンクラーの作動(特に破損や誤作動)による設備や商品への損害だという事。それを聞いた時は正直面食らったのであるが、考えたらそうだわなという認識になっていったのだが、その言葉に間違いはなかったのだろうと今になって改めて思うのは、警備員を辞めてかなりの時間が経ってから昨年開業間もない時期のルクアで起きた水損事案の痕跡を実際に何度も目にする機会があったからだろう。
とはいえ、やはりオメガ店舗のあの窃盗事案の件はそれなりにちょっとした痛手となったのではないか。実は前編の記事にUPした写真を撮った後日再び様子を見に行ったのだが、その時はオメガ店舗は営業再開していて店舗の鍵は見た目頑丈そうなものに取り替えられていたのを確認した。
これがその時のオメガ店舗の様子。
まあ当然の流れと言えるが、それにもハービスエントを管理している阪急阪神ビルマネジメントにはいくらかの負担があっただろうし、現に自分の古巣だった旧阪神系の警備会社に至っては店舗再開までの間の立哨業務の要員を出す必要が有ったわけで……。