猫轍守衛の偽業務日報

訳あって暇人やってる、その昔似非鉄道趣味者だったクズの毒吐きブログ。虎もライオンもデカい猫だけど、文句ある?

そろそろ自重出来ない『阪急電車』をdisろうか……

またかなり今更なネタだが、その事は百も承知でw
311前から何かと微妙に話題になり公開も間近な映画『阪急電車 片道15分の奇跡』(原作:有川浩阪急電車』)、ネットで検索するとそれなりに関連記事が挙がってくる。と言ってもリアルの世界ではローカルな話題でしかないだろうという気がするけどね(笑)
個人的にはあの映画とその原作に反応しているの者の多くは、主に阪急線沿線に在住若しくは阪急線を利用している、及び過去に在住した及び利用した事のある人間と、鉄ヲタ及びその予備軍と有川浩作品好きの人間ぐらいだろうという印象が強い。あとフジ系列局制作のドラマが好きな人間も含まれるかw
実は私はまだ原作の『阪急電車』の文庫本すら買っていない。本屋でざっと立ち読みはしたが、まああのテのノリの作品が好きな人は暇潰しにどうぞ、な感じの作品だった。おそらく映画も予告編を見た限りではそうだろうなという感じが。
ただハードカバーの『阪急電車』が書店の棚に並んだ時、すぐに私は「これは近いうちに必ず東宝・関テレが身内である阪急と阪急阪神系企業を巻き込み、露骨なタイアップ付きで映画化するだろう。」と思った。そして案の定その通りになった。まあ読売新聞・よみうりテレビが絡んで来たのは予想外だったが、読売新聞と阪急との関係は割とベッタリだったりするので何等驚く程の話でも無いかw
しかも映画化の話が出た時点で、最近の日本映画の特徴としてよく語られる(?)制作サイドの予算の都合による「公共事業化」の典型的なケースになるだろという予感もした。それも的中した。しかもマジでロケ地を擁する自治体が絡んでくるという状況になっていたし。
以下は今年始めに産経関西に掲載された『阪急電車』関連記事。因みにこの記事、内容はほぼ記事掲載の前日に関テレ『FNNスーパーニュースANCHOR』で放送された特集コーナーの書き起こしだ。
《映画「阪急電車」 今津線沿線ロケ 関西あったか奇跡、快走‐産経関西 http://www.sankei-kansai.com/2011/01/06/20110106-048080.php
  兵庫県宝塚駅−今津駅を結ぶ阪急今津線を舞台にした映画「阪急電車」は沿線各地での撮影を終え、4月の公開に向け編集作業が急ピッチで進んでいる。人気作家、有川浩さんのベストセラー小説の映画化で、同線に乗り合わせた乗客の群像劇。阪急電鉄や地元の全面協力のもと、製作は関西総力戦の様相だ。関西テレビに籍を置く重松圭一プロデューサーは「関西製作で、関西を舞台にした前向きな映画。関西全体が元気になれば」と話した。 (橋本奈実)
 臨時電車、エキストラ3000人…“地元総力戦”
  「映画楽しみにしています!」「撮影頑張って!」―。昨年末、門戸厄神駅(兵庫県西宮市)で行われたロケ。戸田恵梨香さんと南果歩さんら出演者に女子高校生の声援が飛んだ。
  撮影は宝塚方面行きのホーム後方で実施。撮影用の臨時電車も走らせた。一般利用客やギャラリーも多かったが、混乱はなかった。
  配給元、東宝関西支社宣伝部の森田道広さんは「撮影を重ねるうちに温かく見守ってくれるようになり、町の日常に溶け込んだ気がします」と振り返った。
  県内出身の戸田さんは温かい声援に「うれしいですね。久しぶりに阪急電車に乗ると懐かしくてほっとします。主役は電車。この落ち着く空間が伝われば」。
 ◇◆◇
  撮影は昨年11月26日から沿線の駅やその周辺施設などで行われ、年末にクランクアップ。撮影用の臨時電車は平日のラッシュ時を外し、一般車両が運行する合間に平均1日4往復、多いときは6往復走らせた。
  「写らないよう、通行を待ってもらうなど無理をお願いしましたが、ほとんどの方が快く協力してくれました」と阪急電鉄都市交通事業本部の稲垣達哉さん。
  約3千人が参加したエキストラも「ほぼボランティアにもかかわらず、寒空の下、何時間も待つ姿に感激した」と重松プロデューサー。オール関西で作る関西発の映画は4月29日の全国公開に先駆け、23日から関西で先行上映される。
 ◇◆◇
  沿線在住の原作者、有川さんも撮影現場に足を運んだ。「“地元総力戦”のように感じました。また、作品を大事にしてくださっているとも思いました」
  有川さんは、今後のエンターテインメントは、地方クローズアップの時代になると感じている。
  「地産地消に象徴されるように、うちの地元にもいいものがあると胸を張れるようになってきた。地元への愛着の象徴が、今回の映画化だと思います。私は郷土愛が強いので、自分の作品をダシに地元が活性化したら、とてもうれしい」
  関西テレビでドラマ作りをしてきた三宅喜重監督は「電車を走らせての撮影では、限られた時間で最大限いいものが撮れた。テレビで培った機動力が生かされたと思う」と話した。(後略)(2011年1月 6日 15:00)》
大量の「エキストラ」という名の「ただ働き」を募集して出演させるのはまあこのテの業界では常套手段と言う話で片付けても、監督を関テレ社員にやらすとかいう時点でもうね安上がりだよなーwとしか。ロケの様子にしてもも東宝WEBに挙がっているプレミア試写会でのメインキャスト達の話(http://www2.toho-movie.jp/movie-topic/1103/08hankyudensha_ib.html)を見ても部外者には「あったかどころか色々一杯いっぱいだろwww原作の舞台が今津線でよかったなw」とツッコミ入れたくなる気分なのだがwまあ時間的にかなり制約のある中での撮影は出来て当然とは言えやはり素直に凄いと思うが、いつぞやの今は無き某インチキ健康情報番組が、自滅した回の取材スケジュールがかなり無茶をしていたという話をふと思い出すw因みに原作中にも出て来る武庫川の「生」の文字のオブジェ、一度台風で破壊されて消失していたのを映画ロケの為に宝塚市が音頭取りやって(?)復活させたという話は知っている人も多いと思う。
それにしてもこの映画、やはり色々微妙過ぎる存在だ。この映画を持ち上げるのはまあ勝手だが、「地域振興」の神輿に担ぎあげようとしているところは正直どーよ? としか。
しかも311後は、完全に「がんばろう日本」化してるしw
《映画「阪急電車」 宝塚大劇場で特別試写会‐神戸新聞 http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/0003908315.shtml
 (前略)午後7時からの試写会に約2400人が来場。電車車両を模して壇上に置かれた看板から中谷さんや宮本信子さん、尼崎市出身の南果歩さんら出演者と、三宅喜重監督、有川さんが登場した。南さんは「阪神・淡路大震災でこの劇場も被害を受けた。復興した劇場や街の今の姿は、東北の目標。日常の幸せを描いたこの映画を日本中に届けたい」と話した。(吹田 仲)(2011/03/30 23:04)》
やっぱり「1.17」との「美しい助け合い(笑)」コラボレーションでPR度UPですよねーwって、「ぽぽぽぽ〜ん」じゃない「えーしー」と同じぐらいウザいわそういうのw
いずれにせよ、この映画自体は所詮阪急電鉄の露骨な自社宣伝の為にある作品だと断言しておく。まあそうでなきゃわざわざ阪急電鉄がこの作品の為だけに公式HP内に特設サイト(http://www.hankyu.co.jp/)設ける訳ないわなという話になるが、制作スタッフに阪急社長の角のオッサンが名前を連ねていたとは、微妙に斜め上行ってるなw
阪急電車 片道15分の奇跡 - 東宝WEB SITE http://www.toho.co.jp/lineup/hankyudensha/
 スタッフ
 脚本:岡田惠和
 音楽:吉俣 良
 主題歌:aiko「ホーム」(ポニーキャニオン
 製作:
 福井澄郎 松下 康 見城 徹 角 和夫 桐畑敏春 中村 仁 越智常雄》
……まあ関テレ福井社長のクレジットがあるのは百歩引いてもまだ解る。それに角のオッサンも東宝&関テレの取締役でもあるという事考えたら別に変な話じゃないのかもしれないが、既に本屋に並んでいる公式フィルムブックの最後の方に載っていた映画のクレジットタイトルを見ると、エグゼクティブプロデューサーの項にロケ当時阪急電鉄の都市交通事業本部の一番偉い人だった若林常夫常務の名前が掲載されているし。色々事情は有ろうがいいのかそういうの?w
結局、『阪急電車』は阪急の儲けの為の作品になってしまった訳だ。それで「関西を元気に」とか「日本を元気に」とか、それ「阪神優勝で景気回復」と同じレベルの与太話だろwww
何と言うか、有川浩センセもあまりにも「都合のいい」作品を書いちゃったもんだなという気が……w