猫轍守衛の偽業務日報

訳あって暇人やってる、その昔似非鉄道趣味者だったクズの毒吐きブログ。虎もライオンもデカい猫だけど、文句ある?

非常ボタンを押しても電車が止まるとは限らない(関西ではそれが仕様だ)

JR舞子駅の事故の件を取り上げた昨年末に書いたエントリ(http://d.hatena.ne.jp/nekotetumamori/20101228#1293562962)で、関西の大手鉄道会社各社に問い合わせメールを送った件の結果だが、先月中旬に各社からの回答が揃ったにも関わらずまとめる気が起きずに放置していたので、いい加減まとめも兼ねて一部転載する(それ故に「怒敢言」タグを付けた)。ちなみに送った問い合わせメールは以下のもの。
《各駅ホームに設置されている非常ボタンの作動の件でお伺いします。
 ホーム上から乗客が転落するアクシデントが発生した際、非常ボタンを押した場合、ホームに入ってくる列車に対し非常停止させる為の信号が送られ、非常ブレーキがかかる(という理解でよろしいでしょうか?)筈ですが、それは既にホームに列車が停止している状態でも同じでしょうか?
 (先日他社のある駅で起きた乗客の転落事故の件を念頭に置いて質問させて頂きますが、差し支えのない範囲でご回答いただければ有り難く思います。)》(※私鉄各社向け)
《先日舞子駅で起きた事故の件を念頭に置きつつ、各駅ホームに設置されている非常ボタン及び一部の駅に設置されている転落検知マットの作動についてお伺いします。
 ホーム上から乗客が転落するアクシデントが発生した際、非常ボタンを押す、或いは転落検知マットが作動した場合、ホームに入ってくる列車に対しては異常を知らせる何らかの信号は出されるのでしょうか。或いは車両側の非常ブレーキは自動的に作動しないものなんでしょうか? またそれはホーム停車時も同じでしょうか? 私自身は「作動すれば自動的に連動するもの」と思っていましたが。
 差し支えない範囲でご回答いただければ有り難く思います。》(※JR西向け)
……要するに、「御社の駅のホームにある非常ボタンはATSと連動しているのか?」という事が聞きたかった訳。
まずは私鉄各社。回答が早かった順に上げていく。トップバッターは京阪。
《弊社が採用しております「ホーム異常通報装置」並びに「ホーム転落検知装置」について、ご説明いたします。
 「ホーム異常通報装置」は、ホーム上にある非常通報ボタンを押すことにより、列車(通過列車・入駅列車・停車列車・出発列車)に対し発光信号(赤色点滅)現示と警報サイレンが鳴動、列車を停止させます。また、「ホーム転落検知装置」は、線路とホームの間に検知マットを設け、人や物が転落することにより、上記列車同様に発光信号(赤色点滅)現示と警報サイレンが鳴動、列車を停止させます。
 以上が、弊社の現在採用している保安装置でございます。》
「列車(通過列車・入駅列車・停車列車・出発列車)に対し発光信号(赤色点滅)現示と警報サイレンが鳴動、列車を停止」という事は、もしやATSと連動?……と思って京阪のCSR報告書(http://www.keihan.co.jp/csr/index.html)や安全報告書(http://www.keihan.co.jp/safety/index.html)を見てみたら、どうやらそこまでのものではなく、JR西同様目視が頼りの模様。
続いて南海。
《さて、お問い合わせの「非常ボタン」は、現在弊社において設置を進めている「非常通報装置」であると思われます。
 この「非常通報装置」とは、ホーム上に設置しております「非常ボタン」を押すことにより、表示灯と警告ブザーで駅係員および乗務員に知らせる装置です。また、駅に進入してくる列車に対しては、停止信号を表示し、それを確認した運転士が直ちに非常ブレーキを操作することで列車を停止させます。
 万が一、そのような事態に遭遇した際に、この「非常通報装置」でお知らせいただけるよう、従業員への教育を徹底するとともに、広くお客さまへの周知を図っております。
 現在、南海線の21駅、高野線では17駅に設置し、今後も増設していく計画でございます。
 以上、簡単ではございますが、ご回答とさせていただきます。》
「表示灯と警告ブザーで駅係員および乗務員に知らせる」「また、駅に進入してくる列車に対しては、停止信号を表示し、それを確認した運転士が直ちに非常ブレーキを操作することで列車を停止」ここもJR西と同じ仕様とみていいのか。しかしまだ全駅設置に至ってない……まあ致し方ないのかもしれない。大手私鉄ですらこんな状況のところがあるのだから、ホームドア設置推進ともなれば国や自治体からの補助がなければ拒否反応すら示す日本の鉄道業者は結構多いんではないかな?
今年に入ってから回答を送ってきたのは阪神
《当社の非常通報装置につきまして回答させていただきます。
 ホームに設置した非常通報押しボタンを押しますと、非常通報表示灯が点灯し、併せて警報ブザーが鳴響することにより乗務員及び駅係員に異常を知らせる装置となっております。この非常通報装置は本線・阪神なんば線全駅に設置しています。ただし、当社の装置は一部箇所を除きATSとの連動はいたしておりません。
 以上を持ちまして回答とさせていただきます。》
阪神もJR同様に目視。但し一部でATSとの連動が図られているらしい。
私鉄で一番返答が遅かったのが阪急。まあ問い合わせメールを送った後、
《ご回答に関しましては、担当部署にて調査・ご回答案を作成し、その後、社内にご意見を周知するため回覧後、お客様にご回答申し上げておりますため、お時間を頂戴いたしております。》
という文面のメールが送られて来たので、年末だしかなり時間はかかるかなと思ってはいたが。以下がその回答。
《この度は貴重なご質問をいただきましてありがとうございます。
 ホーム非常通報押ボタンを操作した場合、ホームのアクシデントサインが明滅して警報装置が鳴動し、直ちに係員は列車の停止措置をとり安全の確保に努めています。
 ホーム停車中の列車の場合は、上記の合図を確認した車掌が直ちに非常ブレーキを操作することで、列車の停止措置をとっております。
 また、2009年度から、順次、ホーム非常通報押ボタンと自動列車停止装置を連動化し、入駅列車に対しては自動的に停止措置を取り、ホーム停車中の列車は起動不能とすることで、さらなるホーム保安の安全性向上に努めています。
 今後、自動列車停止装置と連動化したホーム非常通報押ボタンの拡充を図ってまいりますので、〇〇(※私の苗字)様には何卒、事情ご賢察の上、ご理解賜りますようよろしくお願いいたします。》
一番最後に回答してきたのがJR舞子駅事故の当事者であるJR西。
《12月17日に発生した舞子駅での人身事故でお亡くなりになられたお客様のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 お問い合わせの非常ボタンおよび転落検知マットにつきましては、非常報知灯と連動しており、乗務員が目視することにより列車を停止させます。》
私鉄各社の広報と比べてもの凄く簡潔な回答。えーこれだけかよ!? と思いたくなるが、ムダがないと言えばそれまでかw
ちなみに、各社からの回答メールのうち、阪急とJR西だけが広報担当者の記名(但し阪急は苗字のみ)がされていた。ある意味いろいろ似た者同士めwまあ当然だろう。JR各社のうち、特に西と東は阪急始めとする私鉄のやり口の後を必死で追ってきたのだから。