猫轍守衛の偽業務日報

訳あって暇人やってる、その昔似非鉄道趣味者だったクズの毒吐きブログ。虎もライオンもデカい猫だけど、文句ある?

2004年当時の半珍球団の中の人による『虎』球団版権商売についての説明

私が当ダイアリで半珍球団を批判気味に取り上げる際、「阪神タイガースプロ野球チームではなくて所詮コンテンツ屋だ。」と言う事を何度も書いてきている。じゃあ一体阪神はどういうやり方でコンテンツ稼業をしていたのかという事について当エントリで触れる。
私はかつて旧阪神電鉄の子会社にいた(この事も当ダイアリ-で何度もカミングアウトしている)のだが、当時の阪神電鉄はグループの従業員向けに定期的にグループ誌『GROUP HANSHIN』を配布していた。阪急阪神となった今では配布しているのかどうなのか知らないこの冊子、当時は一応全従業員向けに配布されていたようだが、私が勤務していた子会社の詰所では真っ先に持ち帰る者は現場の上長か私のようなヲタじみた人間ぐらいなもので、大半の人は詰所内でさっと目を通した後で放置するか、仕方ないなという感じで持ち帰るかして、最後は決まって何冊かはごみ箱行きとなっていた。
そのくらいしょうもないといえばしょうもない冊子だったのだが、それの2004年8月刊行分の特集コーナーに、『阪神タイガースの商標権事業』という記事があったのでまるっと引用する。今から6年前、2003年の『星野フィーバー』の翌年に書かれたQ&A形式の記事であり、その後村上ファンドの件の帰結としての阪急阪神発足を経て、2008年に版権グッズ製作会社への売上金不払いが発覚した事で公正取引委員会の取り調べが入る(この件は結局阪急阪神百貨店だけの問題として片付けられてしまい、『トカゲの尻尾切り』で終わってしまった感が今でもするのだが……。)以前の話ではあるが、阪急サイドが球団関係は阪神側に任せると表明しその立場を表向きは崩していない以上、おそらくあまり事情は変わっていないのかもしれないと思ってみたり。なおこの記事における事業内容の説明は阪神タイガース営業部大阪営業所次長(当時)の生田史郎氏による。
《Q 阪神タイガースの商標権事業とは、どのような仕組みになっているのですか?
 A 虎マークやロゴ文字等タイガースが有している商標を使用する権利を第三者に認めて、その対価として権利の使用料を受け取るという仕組みになっています。
 Q 今年春には大阪営業所を開設されましたね。
 A タイガースグッズの管理や商標権事業の機能を移転する為に新たに開設しました。今までのオフィスよりもスペース的にゆとりができたことや、取引先のオフィスが東大阪市大阪市内が多いので、迅速にビジネスが進められる事など、大阪事務所が開設されたことで、従来よりも効率的に業務を行うことができるようになりました。
 Q いつごろから取り組んでおられる事業なのでしょうか?
 A 昭和52年ごろから始めた事業です。当初は、業務のすべての工程が手作業により行われていましたが、業務量が増えるに従い、システムの導入、整備を進めてきまして、現在ではたくさんの需要にこたえております。
 Q 承認グッズになるまでのプロセスは?また、使用料の基準は?
 A まず、お客様から問合せを受けた後、商談をして、ご要望をお聞きしたうえで、正式に「商品化権使用許可申請書」を提出していただきます。その後、商標を使用する商品のデザイン等をチェックし、使用を承認するかどうかを決定します。承認が決定された場合は、先にお客様から使用料を受領した後に、「承認シール」を発行し、商品にそのシールをはって、販売していただくことになります(販売数量が多い商品については、パッケージ等に印刷していただく事になります。)。
  使用料については、虎マークやタイガースのロゴ文字は1つの商品の中で、違うパターンのものをいくつ使用しても料金は現在のところ変わりません。ただし、トラッキーや選手の肖像の使用を希望される場合は、別途料金が必要になります。
 Q ユニークなグッズには、例えばどのようなものがありますか?
 A 昨年の例でいうと、大きな商品では、住宅や自動車があります。ほかに変わったところでは、車のブレーキパッド、生ゴミ処理機、理容院のイスや剪定バサミ等がありました。
 Q グッズ以外の契約はありますか?
 A 尼崎信用金庫の定期預金はマスコミでもよく取り上げられていたので、ご存じの方も多いと思いますが、それ以外にも、沖縄銀行やJA高槻、住友信託銀行でもタイガースの名称を用いた預金の取扱いがありました。
  また、ほかには、商店街等のセールがあります。昨年のタイガース優勝時には、80件ほどの申込みがあり、そのほとんどに対して商標の使用を許諾しました。今年も「応援セール」と称した問合せが、これまでに約10件あります。今年も優勝となれば、昨年と同じくらいの問合せが見込めるのではないでしょうか。
 Q 商標の使用を承認するに当たっての基準などはありますか?
 A 一昨年までは、あるグッズに対しては特定の業者というように、独占的に承認する事にしていましたが、昨年からその制度を改め、同じグッズについて複数の業者に承認するケースも出てきましたので、承認する対象も広がりました。場合によっては、個人の方でも承認しています。ただし、タイガースのブランドイメージを低下させるおそれのある業種は、基本的にお断りしています。
 Q 承認グッズなどの件数は昨年でどれくらい増えましたか?また、今年はどうですか?
 A 昨年承認した件数は約3,500件で、一昨年から比べると約4〜5倍に増えました。今年は、現段階で約1,000件と昨年の1/3程度の件数になっていますが、今後のタイガースの成績いかんによっては、件数は増えてくると思います。
 Q 無許可グッズにはどう対処されていますか?
 A 最初は電話で注意をして、大抵の場合はそれで商標の使用を中止してくれますが、電話で主旨をご理解いただけない場合は、来社していただいて重ねて注意し、使用を中止してもらいます。それでも、指示に従っていただけない場合は、違反金を支払っていただく場合もあります。
 Q 直接の収入以外に、イメージ面への影響(効果)をどう考えていますか?
 A タイガースブランドの影響力は、当社だけに留まるものではなく、阪神グループ全体あるいは社会全体にも大きな影響を及ぼし得るので、この事業を通じて、今まで築き上げたタイガースのイメージを更に良いものにして、阪神グループ全体としてのイメージアップにも貢献していきたいと考えています。
 Q 阪神グループの皆さんへメッセージを。
 A グループ各社の事業でタイガースブランドを活用していただける機会がありましたら、どしどしご活用ください。ただし、グループ会社におきましても、商標を使われる場合は、事前申請や許諾料の支払いという通常の手続きを経ていただく必要がありますので、その点はご留意ください。
 (『GROUP HANSHIN』No,6(2004年8月発行) 特集Part1『ご存じですか?あの会社のこんな事業 2.阪神タイガースの商標権事業』 より)》
ま、オチからいうとどうみても『阪神』という組織のイメージアップにつながるどころかむしろ相変わらずイメージダウンにしか繋がっていないような気がするのだがw何と言うか、この事業のすぐ横で才能を潰された野球選手の数を数えてみろよと言いたい気になる。そこは今のグループ大元締めの阪急がやっているタカラヅカにしても同じだろう。これならまだサンリオやサンエックス辺りがやっている事の方が一万倍マシかw