猫轍守衛の偽業務日報

訳あって暇人やってる、その昔似非鉄道趣味者だったクズの毒吐きブログ。虎もライオンもデカい猫だけど、文句ある?

今更だかMBS『ちちんぷいぷい』でどう見てもエフェドリン含有の医薬品を『ハーブティー』として飲む方法をやってた件

いや、もう一週間前にはてブに挙がってた記事だけど……。
ココログにあるブログ『天漢日乗』に『豚インフルエンザ 麻黄湯は健康飲料? 5/14放映MBSちちんぷいぷい」生放送で麻黄湯(生薬からの煎じ薬)を出演者全員に呑ませる呆れた演出 どこの世界に「この薬、ちょっと舐めてみませんか?」なんてアホなことがまかり通る?→追記ありhttp://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2009/05/514mbs-7ada.html』というのがあって読んだ。
自分は日頃『ちちんぷいぷい』見てないので知らなかったけど、なんじゃこの関テレ『あるある大事典』並のニセ健康法は、MBSやっぱりお前もかと。
天漢日乗氏曰くどんな内容だったかというと、
MBS ちちんぷいぷい石田英司のコーナーで出演者全員に麻黄湯を一回服用量の約1/3量渡して呑ませている
のを見てしまった。それも顆粒製剤でなく、
 高圧釜で抽出しているという煎薬そのもの
である。》
麻黄湯というのは、『おくすり110番』の『麻黄湯ツムラ麻黄湯エキス顆粒(医療用)、カネボウ麻黄湯エキス細粒 等)http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se52/se5200132.html』によると、
《カゼのひき始めで、悪寒のするときに用いる漢方薬です。》
そして、
《麻黄を主薬とする“麻黄剤”の基本処方です。》
とある。健康食品じゃなくて医薬品ですよ、医薬品。
もっとも天漢日乗氏も、
《仮にも薬
じゃないのか? 感冒に効果があるという点でいうなら、
 健康な人に生放送で総合感冒薬一錠呑ませてみました
というのと同じことをやってるんですが。
それとも
 麻黄湯の1回服用量の1/3なら「どんな人が呑んでも安全」というお墨付き
でもあるのか?》
とお怒りの様子。
因みに麻黄という生薬はWikipedia(但し『マオウ属』で出てくる)によると、
《これには気管支喘息に効果のある成分エフェドリンが含まれる。》
アメリカなどではエフェドラと称してダイエット用に用いられたが、危険性が指摘されて多くの国で禁止された(エフェドリン参照)。》
とある。エフェドリンについての説明は割愛するが、これは用法守らなきゃ薬どころか毒(しかも麻薬)にしかならない側面もってる有用な物質。
氏の怒りは、
《このコーナーで、最初の方に
 麻黄にはエフェドリンが含まれ
と解説していてこれをやりますか。
葛根湯(*1)と置き換えてみればいい。
 葛根湯って甘くて呑みやすいんですよ
と、スタジオの出演者に一回の規定量の1/3をコップに入れて呑ませて見せた、というのと同じだ。
 カコナール一瓶の1/3をコップに入れて、スタジオの出演者に呑ませる
って、おかしいだろう。てか
 カコナールなら出演者も「これ薬だっしゃろ、飲み物違いますわ」と断る
だろう。》
と続く。
まあ『ちちんぷいぷい』は『ぷいぷい占い』なる血液型占いを未だにやってるようなニセ科学批判者からはグレーゾーン認定では済みそうにないコーナーやってる番組だから、私としてはこういう事が起きても何等不思議じゃないとは思う。にしてもひどいよなこれはw
この日のぷいぷいの見出しがどうだったかというのが『2009年5月14日(木)のちちんぷいぷい 今日のちちんぷいぷい livedoor Blog』(http://blog.m.livedoor.jp/puip/c?id=51260521)にあった。
《●インターネット検索でわかる!ニュースランキング(石田英司タミフルと同じように効く?漢方薬麻黄湯(まおうとう)」
・インフルエンザ用として保険が認められている
・免疫力を高める、発汗作用 》
ソースはネットのニュースランキングかい! そこで『麻黄湯 インフルエンザ』でYahoo!検索してみる。
いろいろ見る限りどうやら発信源は5/8の読売新聞の記事だったらしい。その記事ははてブにも挙がっている。(はてなブックマーク - 漢方「麻黄湯」、インフルにタミフル並み効果…福岡大病院 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)http://b.hatena.ne.jp/entrymobile/13357756
因みに大元の記事は読売の九州版らしいという指摘がgooブログの『非国民通信』の『インフルエンザは麻黄湯を「0・6回」飲めば治るそうです(追記アリ)』(http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/1221e5ff11754e62bfc53f9241d6410e)のコメント欄にあった。それが以下の記事
《漢方製剤「麻黄湯タミフル並み効果、新型には未確認 : 週間ニュース : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20090508-OYS1T00249.htm
 インフルエンザの治療に漢方製剤の「麻黄湯(まおうとう)」を使うと、抗ウイルス薬のタミフルと同じ程度の症状軽減効果があるという研究結果を、福岡大病院の鍋島茂樹・総合診療部長らが明らかにした。新型インフルエンザへの効果は未確認だが、タミフルの効かない耐性ウイルスも増える中、注目を集めそうだ。
 日本感染症学会で4月に発表された鍋島部長らの研究は、昨年1月〜4月に同病院を受診し、A型インフルエンザウイルスを検出した18〜66歳の男女20人の同意を得て実施。うち8人はタミフル、12人は麻黄湯エキスを5日間処方した。ともに発症48時間以内に服用し、高熱が続く時は解熱剤を飲んでもらった。
 服用開始から平熱に戻るまでの平均時間は、タミフルが20・0時間、麻黄湯が21・4時間でほとんど差がなかった。
 服用開始から平熱に戻るまでの平均時間は、タミフルが20・0時間、麻黄湯が21・4時間でほとんど差がなかった。解熱剤の平均服用回数はタミフルの2・4回に比べ、麻黄湯は0・6回と少なくて済んだ。
 麻黄湯のインフルエンザへの効能は以前から承認されており(*2)、健康保険で使える。
 鍋島部長は「正確な効果の比較には大規模で厳密な研究が必要だが、タミフルは異常行動などへの懸念から10歳代への使用が原則中止されていることもあり、漢方薬という選択肢の存在は大きい」と話している。》
タミフル並』という話にははてブブコメでも非国民通信の方でもデータの取り方へのツッコミが入っている。しかしこれではインフル予防に麻黄湯って話にならないよな……。だが検索して引っ掛かったページにこんなのがあった。
《微量漢方養生記: インフルエンザ対策に麻黄湯(まおうとう)http://www.shu-herb.co.jp/kanpou/2007/10/post_243.html
対策というのはタイミングが大切です。
いつ飲めばよいかということですが、クラスにインフルエンザが発症したとき、人ごみを歩くとき、マスクとワンセットで一口飲んでおくと安心。
予防の場合は、半分の量で大丈夫です。》
因みにこの記事が書かれたのは2007年10月の事。タイトルから想像出来る方もいると思うが、完全にアレゲなページでした。もしやそっち系の人達が反タミフル・反リレンザの考え方から「麻黄湯はインフルに利く」という話を「インフル予防に麻黄湯を」な話にしてしまったんだろうか? うーむ……。
だがいずれにしても麻黄湯は医薬品だ。病院の処方箋に基づき薬剤師のいる薬局で処方或は販売される代物。この『ぷいぷい』でのいかにもハーブティーな扱いで紹介するのはよろしくない。天漢日乗氏もこう締め括る。
《あたかも
 漢方薬は「健康ドリンク」と一緒、気軽に呑んでも無害
と視聴者に思い込ませるような安易な演出だ。
 「健康保険の利く漢方薬」です
と最後に言った意味が全く分かってない。
漢方薬局を取材した女性も、麻黄湯呑んでたしな。
 薬って簡単に呑んでいいもの
なのか、その辺りの考え方が全く分かりませんね。
放送倫理・番組向上機構(BPO)に問い合わせてみようと思っている。》
今の所、氏のブログにはBROからの返答はまだない模様。
(*1)Wikipediaの葛根湯の項目にも書かれているけど細かい事言うと、葛根湯にも麻黄は使われてます。
(*2)2005年1月に既に日経BPにそれらしい事が書かれている(インフルエンザの症状に効く麻黄湯 - nikkeibp.jp - 健康- 天野宏の実用・漢方早わかりhttp://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/kenkou/kanpou_050120.html)まあ同年9月にはツムラの宣伝臭い、てかモロ宣伝の『ツムラ漢方スクエア 漢方関連記事』(http://www.tsumura.co.jp/password/m_square/today/kkn/050905.htm)のレポートに
《近年、抗インフルエンザ薬オセルタミビルが開発され、インフルエンザ治療に不可欠な存在となったが、1歳未満の乳児への投与適応がないことや不応例の増加も見られる。
 一方、よく乳児の鼻閉に対して用いられる麻黄湯がインフルエンザ様疾患に対しても効果があることは、一部の医師の間では以前から経験的によく知られており、麻黄がA型インフルエンザウイルスの発育を阻止するとの報告もある(Mantani N, et al:Anitvir Res, 1999)。》
とあるから、前から効くとは言われていたみたいだが。
なおネット上でも必ずしもインフルに麻黄湯が効く訳ではないという意見も見られるので、どっちみちインフルっぽくてヤバイと思ったら医者に診てもらえというのが私の意見。